月刊ライフビジョン | off Duty

東京のワクワクを考えてみた

曽野緋暮子

 ネットニュースの見出しに「東京にくるな」とあった。少なくとも年に1回は東京行くことを楽しみにいる私は「なに?なに?」と思わず反応した。

 ネットニュースのネタを読む。18才人口が減少している中で若者の東京一極集中が進んでいる。平成28年の東京圏への若者(15~29才)の転入超過人数は11万5千人となっており、そのうち大学等進学者は6万7千人と、半数以上を占めている。また、28年の東京23区の大学等の学生数は46万7千人で全国の学生数の17.4%を占めており、6人に1人以上の学生が東京23区の大学に集中している。大学等進学時に東京に転入した者は就職時においても東京残留率が高い。このように東京一極集中が地方の大学等の経営を圧迫、経営悪化による撤退等を引き起こしている。このため地域人材の育成や地域産業の発展に貢献してきた地方大学等の振興や東京一極集中是正が全国知事会等から求められた。

 この状況下、文部科学省は平成29年9月29日に、東京一極集中是正のため平成30年度の東京23区における私立大学等の定員増を認可しないこと等を内容とする「文部科学省告示第百二十七号」(特例告示)を定めた。現在、特例告示の改正や立法措置が検討されている。

 今春、「模試でA判定だったのに落ちた」と言うSNSの発信が目についたそうだ。上記国策の影響のようで、とりわけ地方の受験生が東京の大学に入り難くなっている仕組みらしい。身近に受験生等若者がいないので全く知らないところで起こっていたできごとだ。私達が子どもの頃は東京の大学は憧れだった。進学で上京した人が夏休み等で帰省すると所謂「垢抜けた人」と言う感じで「やっぱり都会は違うなあ」と感心したものだ。

 国策で地方の人は地方で学び、地方で暮らせと言うのはちょっとおかしいと思う。最近目立っている「地域おこし協力隊」の募集要件は「都会で暮らしている若者」となっている。都会で身に付けた知識、柔軟な発想で地方を活性化してほしい。と言う、これも国策だ。準公務員扱いで都会の若者を増やすより地元の若者を採用しろよ。と常々思っている私にはまったく理解しがたい国策だ。大学等に関しては文部科学省、地域おこし協力隊は総務省と管轄が異なると言われればそれまでだが、やはり国策は一本筋を通してほしいなあ。東京でしっかり学んで地方に就職する良い手立てがあれば一番良いのだろうなあ。

 東京には大学等だけでなく、いろんなモノが揃っている。都庁、スカイツリー、東京タワー、明治時代に建てられた西洋建築等々。地方からみれば美術館、水族館、博物館なども目白押しだ。ユニクロだって同じものを売っているとは言え、地方とは品揃えが違う。ディスプレイが違う。友人が「これ銀座のユニクロで買ったんよ~。」と皆に自慢した気持ちがわかる(笑)。ホテルの従業員のレベルも格段の差がある。「サービスにお金を払うってこういうことなんだ。」と納得させられる。都会は自然が少ないと言うが皇居、新宿御苑、明治神宮、上野等々本当に緑が多いなあと思う。東京の桜巡りは、置賜桜回廊と並んで記憶に残るお花見コースだ。

 東京や大阪等の都会を知らなくても人生に影響はないと思うが、高齢者でもワクワクする東京を若い人には是非体験してほしいなあ。