論 考

東西の島国根性

 英国のブレグジットにつき、EUとの離脱協定案が発表された。与党保守党の下院強硬派は、メイ首相の失墜を画策して署名を集めているらしい。

 北アイルランドの通関手続きを回避する方策が見つからない場合は、英国全体がEUの関税同盟に残留するという条件がついているから、そうなれば、EUの議決権を失ってEUに残ることになるから、残留よりもっと悪くなるというわけだ。

 財界は協定案支持である。ブレグジットに反対した人たちは、再度国民投票をやれと主張している。12月半ばの議会で可決されるかどうか。

 典型的イギリス人を「John Bull」と呼ぶ。1712年、アーバスノットの『ジョン・ブル物語』が端緒であるが、1726年に出版されたスウィフト『ガリヴァー旅行記』も含めて、英国人気質に対する諷刺的意味が強い。日本流でいえば島国根性だ。

 かつて世界の超大国であったイギリスが島国根性というのは、ちょっと失礼な気もするが、EUの理想を追いかけるドイツ・フランスに比べると、昨今のイギリスは旧家意識に染まって、歴史感覚や世界的視野が狭く感じられる。

 最近、この言葉はほとんど使われていないが、わが日本の島国根性は相変わらずだとわたしは思う。

 たとえば、敗戦でデモクラシーになった。「した」のではなく「なった」。そうであれば、世界でもっともデモクラシーが進んでいると胸を張られるようにしたいものだが、いまの事情では、とても、とてもの感だ。