論 考

日韓関係について

 韓国の慰安婦財団解散を巡って、日本政府は2015年12月28日の日韓外相会談で決着したのに、その合意の破棄は怪しからんと高飛車な態度である。

 慰安婦問題について、朴大統領時代の2014年4月から日韓外務省間で交渉されていたが、韓国外務省はこの問題について強硬な姿勢を崩さなかった。国内の怒りの声を抑えきれなかったからである。

 2015年4月に米国ラッセル国務次官補が日韓和解を主張した後、韓国は交渉を李丙琪大統領秘書室長に変え、日本は谷内正太郎安全保障局長が当たり、12月23日から急展開した。

 朴大統領は、日本側が明確な謝罪の態度を示すべきという見解であったが、前の大統領の李明博派との対立も抱えており、政権基盤が劣化して、米国の意向に沿うように追い込まれたとみられる。

 いわば韓国政府が国内の強い批判を抱えたままで外相合意に至ったのであって、当時から事態は決着どころか、韓国にすれば余計に国内批判を膨らませていたのである。かくして慰安婦財団は機能停止に追い込まれた。

 日本が外交上の約束を守れと大声疾呼することは可能だが、「最終的かつ不可逆な解決」というような文言を盛り込んだこと自体が、かなり無理筋であった。

 大局的見地に立てば、いまだ大東亜戦争の決着がつけられない理由は、日本政府がきちんとした歴史的見解をもたず、弥縫的対策ばかり打ってきたことに大きな原因がある。

 欧州におけるドイツと各国の関係をみれば、日本政府は、この際、韓国政府をなじるばかりではなく、一度頭を冷やして、わが身を省みる謙虚な態度が必要だと、わたしは提言する。