論 考

カイロでの交渉に注目

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 なぜ、イスラエルは執拗にガザ攻撃を続けるのか。

 イスラエル軍(IDF)によると、ガザ攻撃以前の昨年10月7日時点では、ハマス戦闘員がおよそ3万人いるとみていた。そのうち1万3000人を殺害したという。ただし、算定の根拠はわからない。

 ガザでは3万3000人以上が殺害された。まさか、3人に1人がハマスだとして攻撃しているのではなかろうが。

 ハマスの政治部門の指導者は外国にいる。軍事部門の指導者は国内にいるこという。いままでの報道からは、IDFが果たしてハマスの中枢に接近できているのかどうか不明である。

 トンネルは500キロメートルあるとしていた。IDFが、それをどの程度破壊したのかもわからない。ガザの建物の56%が損壊破壊された。地上を爆撃で破壊しても、ただちにトンネルの破壊にはつながらない。

 人質は当初253人とされていた。解放されたのは109人、12人死亡した。残り129人というが、うち34人はイスラエルの爆撃で死亡した可能性がある。こちらもほとんど具体的なことがわからない。

 この間、反ネタニヤフのデモで盛り上がっている。プラカードには「GRIME MINISTER」(汚れた首相)と大書されている。もともと、強引なネタニヤフ政治が嫌われていた。ハマスが攻めてきたおかげで、反ネタニヤフの動きを封じていた面も大きい。

 これらを並べてみると、ネタニヤフが自発的に停戦に動く可能性はない。エジプトのカイロでの停戦交渉が前進しそうだという情報がある。アメリカがきっちり停戦への圧力をかけるのが勝負であろう。