くらす発見

復興グルメFI大会4年ぶり開催 宮城県南三陸町

筆者 曽野緋暮子(その・ひぐらし)

――コロナが落ち着き、各地のイベントが再開している。第17回復興グルメF1大会も11月19日に4年振りの再開となった。

 会場は2019年と同じ宮城県南三陸町の仮設魚市場だ。東日本大震災後の岩手県、宮城県、福島県の仮設商店街の復興を応援するために始まったイベントで年に数回開催されていたが、食のイベントのため、コロナ禍での開催は無理だった。

 4年間のブランクは厳しい。ボランティアが集まらない。岡山発のボランティアバスの乗車率が50%で、人手が足りない。主催者からボランティア集めの協力依頼があった。長年通っている東北で知り合いになった子育て中のママさん数人に子連れでいいからとボランティアをお願いしたが、コロナ明けの秋の日曜日はイベントが目白押しで都合がつく人が少なく、やっと2名確保。「バスで東北に行くのはもうキツい。」と言う年上の友人を新幹線とホテルを手配し、若干の観光を計画するからと説得して参加OKをもらった。

 現地の主催者も復興グルメF1大会とは別のご縁で通い続けている団体にボランティアをお願いしたそうで何とか人手が揃ったようだ。

 11月17日、防寒準備万端で早朝JR乗車。風雨の中、心配した遅れもなく予定通り気仙沼市着。東日本の日暮れは早い。16時を回ればすでに暗い。ホテルに直行。乗り物疲れを癒した。

 11月18日、昨日と打って変わって快晴。集合場所の陸前高田市たまご村に行く前にタクシーで安波山展望台、気仙沼復興祈念公園に行った。友人は10年振りだ。もちろん、復興祈念公園はなかったが、展望台からの市街地、港周辺の激変した復興の様相に驚いていた。

 その後BRTで陸前高田市へ向かった。巨大なショッピングモールや広いサッカー場を見て知人がポツリ「10年前はな~んにもない所だったよね。」

 その後、ボランティアバスのメンバーと落ち合い、たまご村の方からビデオを見ながら大震災当時の話、復旧、復興の過程などを伺った。「10年以上続いているモチベーションは?」との質問に、「モチベーションなんてきれいごとではない。死ぬか生きるか、お客さんがきてくれなかったら、どうする。弁当が何個売れたらやっていけるか。と日々戦っています。」と言われてズシンと響いた。

 11月19日、バスで南三陸町に移動。早速、ブーステントの設営、会場の机椅子の設置等々力仕事に励んだ。風が超強くてブーステントが吹き飛ばされそうになり、配置換えをする等余分な仕事があったが、何とか15店舗の受け入れ準備ができた。

 4年振りに顔を合わす常連さん、初めての方、各店舗で仕込みが始まる。チケット販売まで2時間以上あるのにお客さんがボツボツ集まる。海風が冷たいが、次第に活気が出てくる。

 地元のアイドルや、キャラクターも次々と参加。タガレンジャーあやめちゃん(宮城県多賀城市のキャラクター)も登場。2014年宮城県七ヶ浜で初登場した時は小学生だったが、来年は社会人になるということで今回が最後の登場だとか。彼女も頑張ったなあ!

 4年前までは1食300円のチケットだったが、今回は1食600円と値上げし、1食の量とグレードを上げた。でも、赤字は変わらないと参加店舗の皆さんが言われていた。私がお手伝いしたブースでは100食用意したが、82食しか売れなかったので完全に赤字だ。

 でも、赤字は今に始まったことではない。赤字は厳しいが、参加することで情報交換したり、愚痴を言いあったり、そう! 同じような苦労した仲間が年に1回でも集まれて元気になって帰っていく同窓会みたいなものだから皆さん参加されるのだろう。

 そして私も端っこの方で皆さんの笑顔を見て喜んでいる。この笑顔を見たいから次回もきっと参加するだろう。