論 考

今度こそ感染症対策の体制固めを

 神奈川県の医療危機対応統括官で、藤沢市民病院副院長の阿南英明氏のインタビューが朝日新聞に掲載された。ダイヤモンド・プリンセス号の隔離診療でも緊急チームの陣頭指揮に当たられた。発言で興味を引いたことを記す。

 20年2月から、全国へ広がることはわかっていた。ということは、その後の政府の初期対応、感染拡大防止体制の立ち上がりが失敗した。医療体制が逼迫するという危機感が薄かった。20年4月3日の安倍氏発言が証明している。

 感染対策としては、患者の流れを止めないこと。中等症は重点医療機関へ、重症は高度医療機関へ、軽症は自宅か宿泊施設で対処する。

 病院の増床はおいそれとはできない。政府・自治体・医療機関が緊密に連携する。神奈川県の場合、病院と増床協定を結んだ。これが円滑に行った場合は医療危機を避けられた。

 医療機関のキャパシティ増加のカギは「人」である。たとえば、重症患者の対応をこなすには10年程度の経験が必要だという。

 今回、ある程度収束すれば、今後の課題は、「早期発見・早期治療」体制を確立して取り組むこと。

 昨日は、鳥取県と香川県で感染ゼロである。感染が1人でもあることは、感染源があるのだから、3T(Testing感染者発見・Tracking感染経路追跡・Tracing接触者追跡)体制を全国的に確立しなければならない。