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為政者の真の実力安倍マスク

おかぼん

 緊急事態宣言が延長されるようである。大多数の国民はこれまで経験したことのない大変な毎日を送っている。自由社会においては、することを強制されるのも耐えがたいが、しないことを強制されるのもこれまた耐えがたいものである。改めて、自由で平凡な日常がいかに貴重なものであるかを思い知らされる。

 ところでこういう非常事態には為政者の真の実力が見えるものであるが、現政権はいかがであろうか。平時に於いてさえ長期政権のほころびが、あちらこちらに垣間見えていたが、このたびの有事においては早速そのいい加減さが露呈された。

 いわゆる「アベノマスク」なる世帯当たり2枚の布マスク支給であるが、とんでもない杜撰な対応により、4月末になってもまだ4%しか支給されない実態をどう考えたらいいのであろうか。そもそも、この世帯当たり2枚の布マスク支給を貴重な財源を使ってやることの是非もあるが、それはひとまず横に置くとしても、たかだかこの程度の事業を正確かつ迅速に実行することができないほど、情けない政府に落ちぶれたのであろうか。

 終戦後、度重なる空襲でズタズタになっていたはずの省線(現在のJR)が、ほぼ時刻通りに動いているのを見て進駐軍を驚かせたというのを聞いたことがあるが、そのような気概は今の官僚にはなくなったのであろうか。年金計算がまともにできていなかったのも当然であるような気がするのである。

 モリカケ問題など安倍首相に対する忖度が大きな問題となり、現在も何かにつけ悪い方に出てくるが、広辞苑によれば、忖度とは「他人の心中をおしはかること」であり、言葉そのものに悪い意味はない。安倍首相が「アベノマスク」に力を入れているならば、それこそ忖度して正確かつ迅速に支給できるように気を遣うべきであった。マスクのような衛生用品に異物が混入するなど、不良品が続出したため回収して再度作って送り直しなどあってはならないことである。

 新型コロナウイルスの収束はまだまだ先になりそうな気配である。6月になれば梅雨入りし、7月にもなれば台風もやってくる。昨今の異常気象を考えれば、日本の何処かで水害が発生することは十分あり得ることである。そのときに政府は迅速にきちんと対応できるであろうか。今年は昨年までとは違うのである。

 政府は2度と「アベノマスク」のような失策を犯すことのないよう気を引き締めてこの国難に対応していただきたい。政府職員に自粛はないのであるから。