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ジュニアNISAと贈与税

音無裕作

 みなさん、iDeCo(イデコ)はもうご存知でしょうか?
 かつては制度を採用した一部企業の従業員だけものであった確定拠出年金が、専業主婦をはじめ20歳以上60歳未満のほとんどの人が利用できるようになったことにより、2017年1月からiDeCoという愛称がスタートしています。将来の年金不安を抱える若者にとって素晴らしい制度ではあるのですが、現時点ではまだまだ認知度は低く利用者も少ないようです。
 もうひとつ、これも忘れられた存在になりそうなジュニアNISA(ニーサ)というのはご存知でしょうか? こちらもあまり普及しないまま、対象者が違うとはいえ今ではすっかりiDeCoの陰に隠れてしまっている感じがします。
 そもそも、NISAというのは小額投資非課税制度のことです。2014年にスタートした制度で、小額投資の魅力を増やすことによって富裕層の高齢者ばかりでなく、投資のすそ野を広げたいという狙いのものでした。しかし実際のすそ野は広がらず、6割超の投資額が高齢者によるもので、そのほとんどが、これまでも投資をしてきた方々の節税対策の一つになっているのではといわれています。
 そのNISAを子どもにも広めようとスタートしたのがジュニアNISAなのですが、これまたあまり普及は進んでいません。手続きの煩雑さや、18歳になったときに突如数百万の資産が、まだ知識のしっかりしていない若者の手元に転がり込んでしまうことなどが問題視されています。
 加えてまだあまり問題視されていないのですが、贈与税の問題が気になります。
 ジュニアNISAを始められるのは0歳から19歳です。多くの対象者、とくに年少者には収入がまだないのが普通のはずで、資金は父母や祖父母からの援助ということになるのが一般的でしょう。
 父母や祖父母から資金を移動するのは「贈与」ということになります。年間110万円までは控除額があるので、ジュニアNISAの投資枠である年間80万円までならば問題なさそうに思われます。
 ところが、一概にそうとばかりは言えないのです。
 毎年一定額を決まった時期に贈与を繰り返していると、贈与を分割したとみなされて、多額の贈与税が発生してしまうことがあります。例えば毎年80万円を子供の誕生日などに10年間渡していた場合、800万円の一括贈与とみなされて、(800万円-基礎控除110万円)×税率40%-控除額125万円=151万円の贈与税を納めることになってしまいます。これでは、ジュニアNISAで投資信託などにコツコツ投資して値上がり益や分配益が非課税だったとしても、トータルでは減額になってしまうことでしょう。
 ではどうすればいいのか、については明確なガイドラインは示されていません。多くの証券会社やファイナンシャルプランナーのホームページなどでも、「そうならないよう気を付けましょう」「こんなことをして備えておくのがお勧めです」といったアドバイス程度しかできていません。ジュニアNISAを推し進めたい金融庁の願いを、税務署にはもっと忖度していただきたいものです。