論 考

政党と正直

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 わたしは、民主主義党有志のつもりである。

 政局としては非自民・親野党である。なかなか、野党について書く機会がない。ひさびさ国民民主党の党大会について書く。

 朝日新聞によれば、国民民主党玉木氏が昨日の党大会で、2024年活動方針として、「政策本位で協力できる政党とは与野党問わず連携するが、正直な政治が大前提」と語った。

 従来、対自民党は「対決より解決」であったが、裏金問題は看過できないので、正直でない自民党とは連携できない。肘鉄食わせた立憲と連携を再構築する傾向か、みたいな内容である。

 対決より解決というのは、是々非々で与党とも連携する方針であった。立憲的対自民対決方針(完全に固定的とは言い難いが)に決別して、与党接近を図ったので、従来、や党とよ党の中間のゆ党だったが、政権入りを狙っていると評されていた。

 そこからすると、今回はゆ党に戻るのか、や党に戻るのか、いずれなのかという観測が登場する。

 小さい党、玉木個人商店的であるから、舵取りは簡単だ。これは風次第なので、長期的に論ずる価値がない。つまり、玉木氏の立ち位置は相変わらずゆ党である。

 そもそも国民民主党は、いかなる人々の代表たろうとしているのか。連合抜きでは動けないから連合党みたいだが、機関としての連合党では芳野氏ともども明確な主体性が見えてこない。

 社会党が存在したころの民社党は、非自民・反共産であった。当時も、よ党かゆ党かの内部対立があったが、ともすれば反共産(反社会も)が強く見えて、いわゆる「働く人」の党とは言い切れなかった。

 民社党は労働者階級という言葉が好きでなかった。社会党の常套語だからである。つまり、当時もゆ党であった。

 国民民主党が政権獲得などと語るのは超夢物語的になるが、政党だから、自前で政権獲得を目指すのか、政権党入りすればいいのか。そこはきっちりさせておかねばならない。

 前原氏が、緑の狸の高等政治技術にはまって右往左往した後が玉木氏であるから、同情するべき苦労もあろう。ただし、自民党にたいするアンチテーゼを確立できないのであれば、小さな徒党に過ぎない。

 国民民主党が野党として存在価値を輝かせるためには、少なくとも対自民党において、野党の総合力が増進するように、立ち位置を定めねばならない。

 「正直な政治」とはなんぞや? 裏金つくりは無論不正直だが、野党の力がないから自民党政治を変えられないという政治状況において、理屈はともかく、結果的に野党を分断、混乱させるのであれば、これも非正直だ。

 正直な政党としての、正直な政治方針をぜひとも表明してもらいたい。