くらす発見

やりきれない!

筆者 難波武(なんば・たけし)

 能登半島は出かけたことがないが、観光写真などで定番の朝市などで、よく知っているように錯覚する。だから故郷のように感じている人が多いだろう。

 1日の夕刻から大津波警報の連呼で、地震の様子はよくわからなかったが、時間の経過につれて全容が次第に見えてきた。3.2万人が避難しておられるらしいが、倒壊した家屋などにたくさん閉じ込められているにちがいない。

 寒さが厳しいから十分に暖かくできるかどうか。寒さだけでも、人間にとっては大きなリスクである。

 自衛隊1万人態勢で救助活動に入るが、支援物資の運搬は円滑にいくだろうか。道路が寸断していて、現地入りが困難だという情報もある。東日本地震のときも物流が最大の課題だった。

 「災害は忘れたころにやってくる」という名言は寺田寅彦(1878~1935)だが20世紀後半からは、忘れる暇がないくらいどんどんやってくる。

 国防安全強化の声は勇ましいが、台風や地震対策はなかなか進まない。難しいのは当たり前だが、力の入れ方が十分でない。国防の手段が本質は破壊兵器だということを考えると、人間の馬鹿さ加減に愛想が尽きる。

 日本列島でマグニチュード7級はいつでもどこでも起きる可能性があるそうだが、個人での対策は結局出たとこ勝負でしかない。

 にもかかわらず、SNSでデマや怪しい情報を流す連中がいる。大きな被災で人々が苦悩しているときに、バカなことができるのも才能ではあるが、少々の知恵がついても人間としての成長ができない。これが今日の世界的状況の基本的原因ではないか。腹立たしい。情けない。