論 考

パレスチナ・イスラエルの紛争

 軍事力の格差が圧倒的だから、ハマスが短時間に7カ所の分離壁(検問所)を突破してイスラエル側へ突入したことが、世界を驚かせた。

 現実点では、おおかたの報道はハマスのテロ活動として扱い、イスラエルが攻撃されたことに批判が強い。それは、その通りである。

 ただし、イスラエルが軍事組織を使って、パレスチナを強烈に圧迫し続け、じわじわと難民を増やしている事実を無視できない。

 パレスチナ面積の半分以上がイスラエルの行政・軍事・警察支配下にあり、パレスチナ人の生活は困窮を極めている。イスラエルによる土地没収、不法として建築物の破壊、水の不自由、パレスチナ人の移動の不自由、土地没収とイスラエル人入植者の増加など、自由な日常生活は望むべくもない。

 4次にわたった中東戦争で、イスラエルと対立していたエジプト・ヨルダン・アラブ首長国連邦・バーレーン・モロッコなどが2020年までにイスラエルを承認、パレスチナ支援をしているのはシリア・イラン・トルコだけである。

 2006年にハマスが選挙に勝利して、その後2014年にパレスチナ統一政府がつくられたものの、パレスチナ・イスラエル和平交渉は頓挫している。

 米・ロ・EU・国連、アラブ諸国の仲介・介入も進まず、経済的援助も不活発である。

 各国は、紛争対立が拡大しないようにと至極当たり前のコメントを発表しているが、すでにネタニヤフが「戦争だ」と断言している。戦争は、圧倒的にイスラエル有利である。このまま放置すれば、皆殺しが危惧される。

 イスラエルとパレスチナの二国間に委ねたのでは、パレスチナは圧し潰される危険性が高い。ここは、喫緊に関係諸国の仲裁体制を確立するべきではないか。そのうえで停戦させねばならない。