論 考

独日首相の見識の違い

 他国との間に一線を引けば、必ず跳ね返ってくる。EUは中国を視野に、デリスキングなる一線を引く安全保障戦略をつくった。果たしてリスクを脱せられるか、むしろ関係を悪化させる危惧が強い。

 20日、ショルツ氏は訪独中の李強氏との共同記者会見で、中国が、ロシアのウクライナ戦争を止めるよう影響力を行使すべく訴えた。

 新聞などは、ドイツがEUの結束を破るというトーンで報ずるだろうが、本当にウクライナ戦争を止めさせたいなら、ショルツ氏の発言はもっと大事に扱われねばならない。

 がんじがらめの状態でも、ドイツがなんとか事態解決の道を模索する見識・態度を、岸田氏には少しでも見習ってもらいたい。

 戦争の歴史を本気で勉強した政治家と、まるで勉強していない政治家の大きな違いが出ている。

 それが、いずこかの大国のお先走りをすることが国の舵取りだと、とんでもない考え違いを起こすような結果を招いている。

 自主独立精神のない政治家が愛国心など持ち合わせるわけがない。