論 考

政治家は理性の動物か

 蔡氏の訪米は、「(大騒動の)ニュースにならなければ成功(のイベント)だ」というごとき識者のコメントが出ると、世間はそれを「なるほど」と思うのかもしれないが、まったく噴飯ものだ。

 アメリカは、中国に向かって「過剰反応の必要はない」とアナウンスするが、これまたトンチンカン極まりない。

 蔡氏が訪米し、マッカーシー下院議長と会談したことを世界に向けて発信したいためのイベントである。過剰反応するなとコメントするのは、初めから挑発だということを確信しており、過剰反応を予期しているからだ。

 大国外交なるものの三文芝居ぶりが露骨である。本気で世界の平和・安定を願うのであれば、新たなモメネタをつくらぬようにするのが当然である。

 世界中の人々の目の前で、論理矛盾の行動を平然とおこなうのだからお話にならない。

 訪中したマクロン氏は習氏に、「ロシアを理性へ引き戻すためには、あなたが頼りだ」と語ったという。これは妥当だ。

 ウクライナ侵略の初めから、中国に対してその姿勢で臨むのが理性というものだったが、アメリカはじめ民主主義陣営! は、中国とロシアを一蓮托生扱いした事実が残る。

 政治家に理性を期待するのは、ないものねだりだという声が聞こえるが、にもかかわらず、政治家が理性的に発言し行動するように注文つけるしかない。