論 考

医療崩壊の現実が理解できない政府

 患者をきちんと診療しないことに政府がお墨付きを与えたのが、自宅療養なる理屈で、これが医療崩壊である。

 政府がお墨付きを与えたと書いたが、もちろん、その最大原因を作ったのが政府であって、ことは、政府と医療業界のキャッチボールに過ぎない。

 昨年1月からのコロナ騒動で、政府の対策は無知ゆえの楽観論に立って、最悪の場合に備える、あるいは感染症対策の遅れを取り戻すという姿勢が何一つ見られなかった。

 昨年第1波が終わったとき、ダイヤモンドプリンセス号以来の感染症対策を総括するのが筋道だが、そのような取り組みはなかった。総括=反省をしないのだから、新たな取り組みが構想されるわけはない。

 中国が10日間で1,000人収容できる病院を2棟建設したのは、細菌戦のノウハウが下地にあると思われるが、この取り組みの意義を理解していれば、早手回しの対策を想定できたはずである。

 田村厚労大臣は、「早目早目に対策を」などと、まったくやってきたことと正反対の言葉を並べて自宅療養の説明をした。まったく問題の本質がわかっていないばかりか、反省の気配すらない。

 読売新聞も本日社説で、「その場しのぎの対応の結果」であると批判した。菅流「国民の安全・安心」など、もはや、悪質な虚言・空言というしかない。