論 考

日本が対話攻勢をかけるべし

 文在寅大統領の光復節(8/15)の演説について、日本政府は、従来とはトーンが変わったという受け止め方をしているらしい。

 たしかに日本を攻撃してはいない。しかし、「過去を省察するなかから、東アジアの平和・安定を(日韓)ともに導くことを望む」という言葉には、依然として歴史問題が重要だと語っている。

 2015年12月28日、朴政権時代に、慰安婦合意が韓国の民意を無視してどさくさまぎれに決められた。政権が交代しても国と国の約束は遵守されねばならないというのは正論ではあるが、レームダック化している朴政権とした合意が拙速だったことは疑いない。

 続く韓国大法院の徴用工賠償判決について、日本は1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的解決を明記したのだから、元徴用工の請求権はそれに含まれていると突っぱねる。

 しかし、元徴用工が求めているのは反人道的不法行為に対する強制動員慰謝料の請求であるから、その補償範囲外であるという大法院判決についての日韓合意を求めない限り、日本が突っぱねているだけでは決着できない。

 そもそも慰安婦合意にしても、1965年ですべて決着しているのであれば、新たに日韓合意をする必要はなかったはずである。

 歴史問題に無理やりフタをしても、一切がチャラとはいかない。安倍氏はプーチン氏と26回の会談をしてきたはずだが、文氏とはほとんど会談らしいものがない。プーチン氏との「蜜月」関係を誇っても、日ロ外交はなにも前進せず、むしろ、2島返還論を出したことによって、日本からすれば後退している。

 ろくに話し合いもせず高飛車な態度を打ち出すのは愚の骨頂だ。早急にテーブルに着いてもらいたい。それが積極的平和主義というものだ。