論 考

首脳会談の価値は回数にあらず

 ロシアが領土交渉にまったく乗ってこない。

 2016年12月にプーチン来日の前に、あたかも領土問題が動くかのような報道が流れた。もちろん政府取材からその流れができた。

 来日直前、モスクワで読売がプーチン氏を単独取材したが、とても領土問題が前進するような内容ではなかった。

 にもかかわらずその後、政府は2島返還論を前面に出してきた。以前から鈴木宗男氏が公民権停止中にもかかわらず官邸に出入りしており、指南役を果たしていたことが見て取れる。

 問題は、いったい、いかなる理由によって事態が動くと読んだのか。こちらが期待する仮説に仮説を積み重ねて物語を構成したようにしか見えない。これ、旧帝国軍隊の事例研究とよく似ている。

 一方で、日本は米国との軍事同盟をじゃんじゃん深化させているのだから、客観的には日ロ関係は離反方向である。

 首脳同士が会う回数に過度の期待をかけたともいえる。

 国会で、この間の日ロ外交の総点検をやるべきだ。