大手の賃上げ結果についての報道は、まとめれば「もっと出せるはず」だ。「これでは消費が盛り上がらない」から、「日本経済に貢献しない」というあたりだ。
賃金引上げを春一斉におこなうのは、参加組合挙って賃上げムードを高めようというにある。しかし、いまは、1970年代あたりまでの勢ぞろい春闘とは全く異なる。
外から眺めていても、組合員自身の賃上げムードが盛り上がっているとはとても考えられない。
原則論をいえば、組合員が自分の賃金に対して主張し、それに基づいて要求を構成しない限り、春闘が盛り上がるわけがない。
いわば、1990年代バブル崩壊後の気風がそのまま残っている。
もちろん、いかに春闘全体が盛り上がっても、企業には、それぞれの事情があり、賃金を決定するのは、各労使の問題である。
組合員が納得できる労使交渉であるならば、結果が世間水準より低くても、その労使における交渉は十分に意味がある。
企業間格差縮小を組合全体の課題とするならば、まず、中小組合が自信をもって闘える要求水準を基盤とするしかない。
目下は、大労組の回答が出た時点である。以降の中小組合の動向がどのような展開をみせるか。賃上げ数字も大事ではあるが、それぞれの組合が組合力をいかに構築できるか。それがもっとも大事である。