論 考

生活の質から再建しなければ

 産業界の人手不足が深刻で、働く人は余裕がない。

 1つの見方として、生産が過剰ではないのか。1人当たり生産性を上げよという掛け声ばかり目立つけれども、生産が過剰だから物価が上がらないという見方に立てば、違う景色が見えてくる。

 経済は人々の生活を維持するためにあるわけで、産業界が収益一辺倒で突っ走っている限り消費は上がらない。

 消費が上昇しない最大の理由は、人々の生活時間が産業界の供給側に吸収されてしまっているという見方もできる。

 子供の成績が家庭環境に影響されているともいう。経済力のある家庭の子供ほど成績がよいというわけだ。塾でじゃんじゃん勉強させるのだから当然そうなるだろう。

 町を走る若いお母さんの自戦車の交通ルール違反は目に余る。時間の余裕がないのである。子供のために家庭環境を整えよというけれども、家族が家庭で揃って食事することすらできていない。

 人口減少、生産年齢人口減少というような視点ばかりにとらわれていることが最大の問題だ。人々の生活の中身を本気で再建しなくてはならない。