論 考

首相記者会見

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 JAL516機と海上保安庁機の衝突事故は、まだ、なにか死角があるのではないか。双方とも衝突するまで気づかなかったらしいし、管制塔も海保機が滑走路侵入したのを知らずという。

 海外からは、乗客乗員379人が無事脱出したことを賞賛している。数分で機内に煙が充満し、18分後に全員脱出成功というのは危機一髪を潜り抜けたので、写真を眺めていても背筋が寒くなる。

 昨日は首相記者会見があった。

 能登半島は、地震の際はいつもそうだが交通網が寸断され、救援活動が思うようにならない。自治体職員も被災者で、活動力が確保できない。3.4万人が364か所に避難しておられるが、食料・水、トイレにとりわけ難渋している。暖かく過ごせないだろう。

 できるだけ被災者の全容解明を進めねばならないが、とても容易ではない。

 首相はなんでも、自分が「先頭に立って」というのが常套句だが、現地の司令塔が確立しなければ、岸田氏がいかに一意専心する気構えでも前には進めない。

 半島の先へ行くほど孤立が進んでいる。高齢者も比例する。

 最先端で活動に当たっている人は各人の部分でしか動けない。全体の取り組み体制を早急に整頓する必要がある。もちろん、わかっているだろうが、報道を見る限りではまったくもどかしい。

 せめて記者会見には、その全貌を語るくらいの用意があってもいいのではないか。