論 考

岸田氏は毅然として責任を取るべきだ

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 昨日、岸田氏は、「年明け、できるだけ早い時期に党の信頼回復のための組織を立ち上げるなど毅然とした対応をしていくことを確認した」と語った。

 麻生、茂木氏からとの会談の結果である。

 年明けのできるだけ早い時期というのだから、たとえば、1月中になるかどうかはわからないということだろう。

 信頼回復のための組織というが、組織ができたら直ちに結論が出るわけもない。信頼を回復させるかどうかは、国民の見解であって、組織をつくることが信頼回復と直結するようなすり替え発言をするべきではない。

 毅然とした対応というような表現は、行動する本人がいうことではない。それを見ている周囲が、毅然としているかどうか感ずるのである。

 たびたび指摘してきたが、言葉は修飾語が多いほど真実から遠のく。とくに政治家が語ると、修飾語が多い分、なおさらインチキを感じてしまう。

 宏池会の大平正芳氏は、あーうー総理といわれたが、あーうーをのぞくと、きちんとした文章になっていた。しかも、無駄な言葉を連ねていなかった。岸田氏が宏池会の棟梁だとはとても思えない。

 政局がどうの、こうのという。いまは、安倍派パーティ売り上げのキックバック問題が大騒動だが、あえていえば、それは自民党内で派閥のリーダーシップをとるための下衆根性による小細工である。

 岸田氏はそれをもって自民党の危機、内閣の危機だと考えているらしいが、本丸は自分自身である。首相就任以来、日本の政治は墜落前の航空機並みに、蛇行を繰り返している。

 日本の力はどんどん落ちていく。米国に追従すれば無難だと思っているのだとすれば大間違い。米国は日本がお荷物になったと判断すれば、いつでも手を切るだろう。米国的現実政治に修飾語はない。

 日本はアメリカと一緒に同盟を大きくしているつもりだろうが、実は、実質的に孤立の道をひた走っている。

 わたしの希望だ――松の内に岸田氏の退陣を実現してもらいたい。それこそが毅然とした態度というものなのである。