論 考

国際世論の支持失うイスラエル

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 当初、ハマスをテロ集団として切り捨てていた傾向の西側メディアも、イスラエルに対して厳しい視線を送るようになった。

 しかし、すでにガザ地区での死亡は2万人を超えた。爆発後、瓦礫を取り除いて人を発見するという作業らしい。国連などの分析でも、実際はもっとたくさん亡くなっているという。

 イスラエルの猛烈な攻撃でハマスの軍事力は低下しただろうが、壊滅どころか、ますます戦闘意欲が増しているのではないか。イスラエルが攻勢を止めたくないのは、そのせいだろう。

 人質救出のために武力攻勢が成功するほど好都合だという理屈は、どうも理解できない。経験的には、人質が無傷で生還するためには、武力よりも調停のほうが効果的である。

 パレスチナの人々のハマスに対する信頼感は高まったであろう。報道では、ハマスに対する苦情は1つとして出ていない。イスラエルが攻撃を続けるほど、ハマスの評価が上がるだろう。

 なんといっても、ハマスの最大勝利は、国際世論を大きく動かしたことだ。公然とイスラエル支持を表明し続けているアメリカも、イスラエルに対する懐疑心が表面化している。

 しかし、この間平均1日700人が殺されている計算になる。

 西側は、かつてイスラエル建国を進めたのだから、その結果がこのように惨状として現れていることについて、もっと真剣・深刻な停戦関与が必要だ。

 武力行動を阻止するのは、交渉を推進させるための周辺の力である。