筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
目下、岸田氏による減税という選挙得票目当ての愚策が批判を浴びている。ところが彼らは、有権者がおカネ目当てなのだと確信しているから、なぜ批判されるのかわからない。彼らがわからない理由はこうだ。
与党政治家がパーティを開けばパーティ券がたくさんさばける。パーティの内容に期待しているからではなく、政治家とのコネクションをつくりたいからである。言いたいことがある人は自分から申し立てる。
パーティ券を購入し、政治家とお近づきになりたい人が、社会的に公平公正な政策をよろしくとお願いするわけはない。これこれをやってほしいと、自分自身が求めることであって、その際、黙っている人たちの分までお願いしない。
政治家は、おカネと時間が有り余っているから政治家になるのではない。現在では、おおかたの政治家が政治を職業とする(=おカネのために働く)のである。
つまり、利潤を上げることが基盤の資本主義社会において、政治家は、「政治」を商う政治屋である。
政治屋個人が徴税するのではないが、税を消費する商売でもあって、減税という価格(税金)割引サービスをするのがなんで悪いか。同じ品質なら安い商品を買うのが消費者(有権者)だ――という思考回路である。
だから岸田氏は、減税を歓迎しない世評を理解できない。
もっと政治が身近にならないかと考える人は多い。身近とは煎じ詰めれば、政治に常識を求めているのである。政治家にいちいち御用聞きせよと言っているわけではない。非常識が横行しているから問題なのである。
非常識(有権者視点)と常識(政治家視点)の違いは、政治なるものの理解が異なっているからだ。これは民主主義以前の問題だろう。