論 考

クリスマス停戦のベクトル

 プーチンが、6日正午から8日0時まで、36時間の停戦命令を発した。ロシア正教キリル総主教提言によるクリスマスのための停戦という。

 もともと、プーチンが起こした戦争であるから、ただちにウクライナが偽善だと批判し、すみやかに軍を引き上げるべきだという主張は正しい。

 また、次なる作戦のための戦術的停戦でもあろう。ご都合主義の理屈を並べているから、プーチン発言が単純に歓迎されないのは至極当然である。

 ところで客観的には、従来の様々な戦争の体験からして、停戦という動きが出たのは悪い兆しではない。

 この戦争は、ウクライナ領土でおこなわれているのだから、プーチンの思惑がなんであるにせよ、ひょっとすると、関係国を含めて1つの転換のサインになる可能性がある。まったく報道されないが、水面下での交渉がどうなるか。

 ほんの少しではあるが、事態が動くことを期待する。

 問題は、停戦明け攻勢が大規模に展開されるケースである。プーチンは、特別軍事作戦と称して、公式には戦争宣言もおこなっていない。自分が撒いた種である。果たしていかなる展開になるか。