論 考

放置すれば世界規模の戦争になる

 ロシアが、国内を本格的に戦時経済体制へ移行するようだ。

 1つは、企業に対する国防省の権限強化、2つは、軍事産業において、不足気味の専門人材を確保し、労働者の残業強化を進めやすくする。

 ウクライナ戦争が長期の消耗戦になり、武器・軍装品の手配が円滑でない。経済制裁がこんごさらに効いてくるからコスト削減を図る狙いもある。

 米・EUはウクライナへさらに支援をするが、欧米ともに提供する武器が品薄になっている。

 現状、戦局転換の動きがみられない。つまり、どんどん戦争が続く。第三次世界大戦にしないというが、戦地がウクライナに絞り込まれているだけで、さらに長期戦化すれば、その性質は実質的に第三次世界大戦だともいえる。

 世界秩序は、ますます劣化する。政治家が軍事力頼みで、他に問題解決の手立てがないとすれば、結局軍国主義同士の対決である。

 自民党提案の防衛費GDP2%論が、国民の平和を守られると判断する根拠はない。ウクライナ戦争が、人々の防衛意識を高めたとメディアは論評するが、実は感情的に右往左往しているだけで、まことに軽薄の極みだ。

 オツムが迷路にはまったときは、スタート地点へ戻って、冷静に考えねばならない。浮ついている世間の風潮を鎮静化させねばならない。