論 考

actionへの道

 ロイターによる記事の要約である。米シリコンバレーで労働組合結成の動きが活発化しているらしい。

 従来、ハイテク分野では組合組織化は無縁だと思われていたが、流れが変わりつつある。

 働く人たちが、単に高給を手に入れられればよろしいと考えなくなった。組合結成を求める人たちは、自分が働く会社が、社会的に素晴らしい貢献をしていると納得できる会社であってほしい。

 つまり、働く段階をlabor(生活の糧)⇒work(個性の発揮)⇒action(社会的活動)の方向へ発展させたいのである。

 地図情報サービスのマップボックス社(評価額10億ドル以上)では、従業員の2/3が組合結成を希望する署名をしていた。そこへ経営陣が、組合結成が理由で、1.5億ドルの資金調達機会を失ったと社内会議で発表した。

 投票によって、働く人たちは組合結成を否決した。彼らはストックオプションの価値が下がることを嫌う。

 マップボックス労働組合は、「持続的で説明責任を果たす、包摂性のあるマップボックスを作るために連帯する」ことを掲げていた。

 経営陣が取った作戦は、単純にいえば、個人的利得への働きかけである。働く人がactionを志向するのは素晴らしいが、それだけに行動するのは容易ではない。

 actionへの道筋には、哲学と根性が必要だろう。