論 考

女性の教育とタリバン

 タリバンの動向が注目される。とくに女性の教育がどうなるのか。

 パキスタンのカーン首相は、女性に教育をさせないというのは、イスラム教とは無関係だと発言した。

 パキスタンは、タリバン政権を認めるためには、人権尊重が大切で、政権が多様・多数の人々を受け入れることが必要だと注文する。人権尊重が基本的に合意されるならば、女性の教育問題も必然的に解決しそうなものだが、どうも一筋縄ではいかないのではないか。

 わたしの母は大正10年(1921)の生まれである。1960年前後、勉強がよくできたと、家族のみならずご近所からもよく聞いた。しかし、当時、「女が勉強すると生意気になる」という発言もよく耳にした。

 社会的慣習というものは、容易に改まらない。一皮むけば、今日の先進国といえども相変わらず女性差別が批判されている。

 カーン氏は、アフガニスタンは、タリバンの動向次第で、内乱の危機は依然としてあるとも指摘する。

 社会秩序の箍(たが)は外れやすい。アフガニスタンは、外れっぱなしの箍をどう組み立てていくかの厳しい事態にある。日本人が学ぶべきことがたくさんあると痛感する。