論 考

都議選結果から考えた

 都議会、自民党は33議席で第1党になったが、公明党23議席と合わせて56議席で、過半数の64議席には及ばず。

 都民ファーストは31議席で14議席減少だが、第2党を維持した。先回のようなブームなしで、地域政党としての存在感を示した。

 共産党は1議席増の19議席、都議会での野党第1党を確保した。

 立憲民主党は7議席伸ばして15議席、若い議員が善戦したのが目立った。

 どの政党も大勝利はないが、各政党が競い合えば、都議会が言論の府として育つ条件ができたとも見られる。

 国政選挙への前哨戦として考えれば、与党にとっては不気味な雰囲気であるが、現実の与野党の力関係は依然として大きく非対等であるから、「目玉」を打ち出せない野党の展望が開けたわけではない。

 安倍・菅と続いた内閣が、中長期の展望を欠いて、場当たり主義の政策展開が多く、また、党の体質としても非常に劣化していることは、大方の国民が分っている。野党陣営が選挙協力を進めるのは当然である。

 さらには、ダメ与党の批判を踏まえて、野党が日本的政治の展望らしきものを打ち出せるかどうか。人々は相当精神的に疲弊している。人々の活力を引き出す構想を国政選挙までに練り上げられるか。

 しがらみというのは、損得勘定でつながっていることだけではなく、現状を反省し、あるべき姿を自由闊達に論議できない実態でもある。安倍的愛国心ではなく、人々が「わたしが主人公だ」と自負したくなるように、社会づくりの展望を開く気持ちで政治方針を構想してもらいたい。