論 考

コロナ対策を検証せよ

 WHOのコロナ対策に関する独立調査パネルが最終報告書を発表した。

 それによると――昨年、WHOが緊急事態を宣言したのは1月30日だったが、その前22日の会合で宣言を発すべきだった。この1週間の遅れによって、宣言後1カ月間、各国は適切な対策を講じられなかった。

 とくにWHOが、渡航制限は最終手段だとして、その制限が遅れたために、欧米諸国は結果的に2月を無駄にした――と厳しい指摘をする。

 たしかに結果から考えると、最初に警戒信号を送るWHOの一挙手一投足に敏速さが要請されるだろう。

 しかし、WHOは具体的にコロナ対策のストッパーではない。WHOの宣言によって実際に取り組むのは各国である。わが国などは、まことにのんびりした気風で、緊張感は実に乏しかった。3月9日には、コロナ対策の関係閣僚連絡会議において議事録を取っていないことが発覚して批判された。

 さて、わが国においても、政府は独立パネルを組織して、一連のコロナ対策を検証し、仕切り直しの態勢に入るべきである。

 蒋介石の日中戦争の際の「最後の関頭」発言は有名だが、コロナ戦争における菅氏ら「戦争指導部」においては、最後の関頭発言が何度でも出てくるので、まったく締まらない。いままで感染者が外国に比較して少なかったのは、国民諸兄が賢明な行動をしたからだ。緊急事態宣言のお陰ではない。

 3度目の宣言の効果がないのは、要するに、宣言を発出する指導部中枢が緩んでいるからである。――ということに気づかないくらい、スカスカなのである。