論 考

できの悪い受験生みたいな記者会見

 昨夜は、菅氏の記者会見を聞いたが、膝を打つような説得力がない。

 今朝の各紙社説は、読売「緊急事態解除 リバウンド回避へ警戒怠るな」、朝日「展望見えぬ宣言解除 再拡大阻止に全力をあげよ」、毎日「4都県の宣言解除へ 懸念を拭う対策が必要だ」と、会見内容がモヤモヤを拡大しただけだという事実を追認している。記者の質問も切れ味のよいものは聞けなかった。

 政治は説得力が決め手である。記者会見ではなく、新聞記事の隅っこに書かれた、某閣僚の「(首相は)直観だけでやっている」とか、首相周辺の「(大した手が打てないが)宣言解除後に制限を強められない」というような雑音もどきのほうがひときわ説得力をもっている。

 しばしば指摘していることだが、菅氏の発言は中身空疎な修飾語が多すぎる。修飾語を除けば、何もない。安倍内閣以来、よくなるように「やります」という文脈だけで、具体策がからっきしだ。

 この事態を変えていくためには、昨年以来の取り組みを振り返って検証する作業が不可欠である。

 科学的知見というものは、専門家が話せば科学的なのではない。何を、いかにして、どのようになったか、問題はどこにあるのか、確実なことはこれで、不確定要素はこれだ。というように、1つひとつ、筋を通して順序だてを明確にして、今後の手立てを講ずるべきだ。

 昨夜の会見では菅氏が「まさに」を連発したが、まさに、このような緻密な思考回路を経ていないから、「直観」だけでやっていることになる。勉強していない「受験生」の直観なんてものが役に立たないことは、誰でも知っている。