論 考

しまらない政治にケジメをつけよ

 いま政治全体に欠落しているのは、3Kではないか。いわく、――危機感・緊張感・けじめ――である。

 最初のコロナ感染が下降したとき、安倍氏は「日本的モデルが成功した」と語ったが、そもそも、なぜ感染が下降したのかはっきりした理由は不明だった。

 収束したのではないにもかかわらず、GoToキャンペーンを打ち出して、いまの感染が拡大しつつあった際には、医療現場の苦境を無視した。GoToによって感染拡大しているとのエビデンスはないと、それ自体がエビデンスのない言葉で対策らしきことを何一つせずに、ずるずると感染拡大を放置した。

 会食するには、マスク着用してやれというバカな発言をして、その当人は相変わらず会食に精出してきた。ここへきて大慌てだが、医療機関からは悲鳴と怨嗟の声が聞こえる。

 政府と自治体の意思疎通が円滑でない事態がずっと続いてきたのも隠しようがない。問題が大きくなっても、お互いに責任の押し付け合いである。「司、司に任せる」と語ったのは、はるか昔の竹下首相であったが、司それぞれがバラバラに動いている。

 安倍内閣以来、官僚の人事に睨みを利かせることには成功したが、その結果、官僚がいい仕事をするようになったか! 各自が、言質を取られたり、ドジを踏まないように、できるだけ仕事をしないように心がけるようになっただけだ。

 なにしろ8年間にわたってトレーニングしてきたのだから、動きが取れない。ガースー氏は、多人数の会食を「真摯に反省する」と語ったが、そんなことを真摯に反省するだけでは何も変わらない。反省だけならサルにもできる。