論 考

怒り

 ワシントンポストの有名記者ボブ・ウッドワード氏が、今月中旬『RAGE』(怒り)というトランプ物を出版する。

 トランプ氏のインタビューを重ねている。2月7日に、トランプ氏は習近平氏から聞いて、コロナウイルス感染が「インフルエンザより致命的」だと知っていた。3月19日には「(国民に)事態を軽く見せたかった」などの発言を引き出していた。その内容をいままで報道しなかったことについて批判が出ている。

 ところで、書名の「RAGE」の主語は誰なのか。トランプ政治に対して国民が怒っているという意味か。

 主語がトランプ氏だとすると、RAGEには、逆上するとか猛威という意味もあるのでぴったりだが、トランプ氏が怒っているとすれば、どうもしっくりこない。

 トランプ氏は、最初の選挙からその後の政治を一貫して、意図的に敵を作って展開してきた。国民同士が敵対する、それは怒りの関係だ。人々はまんまとデマゴーグに操られてしまった。

 怒りは狂気の入り口である。トランプ氏が大統領になってから、傍目には狂っているのじゃないかと思うようなことが極めて多かった。

 ウッドワード氏はウォーターゲート事件でニクソンを辞任に追い込む役割を果たした。人々のデマゴーグに対する怒りが、大統領選挙が大爆発してほしい。