論 考

都知事選--消化試合か、波乱を呼ぶか?

 都知事選の構図がほぼ決まった。現職の小池氏、立共社推薦の宇都宮氏、れいわの山本氏の争いだ。

 市民団体が提案して野党共闘による反小池有力候補擁立をめざしていたが、候補者選びが進まないなか、宇都宮氏が立候補して、立憲・共産・社民が応援する形になった。そこへ当初は野党共闘での出馬を期待されていた山本氏が単独で立候補した。

 反小池野党共闘がかなわず、宇都宮・山本2氏の得票分捕り合いになるという見方があるが、むしろ、消化試合的になりそうだった都知事選が盛り上がる可能性が沸いたと見るべきであろう。

 先回2016年都知事選は投票率59.73%、小池・増田(与党)・鳥越(野党)の3者の争いで、おおよそ小池291万票・得票率48%、増田179万票・同30%、鳥越135万票・同22%であった。

 今回は投票率が上がるだろうか、それとも下がるだろうか。本命小池氏は不変としても、先回選挙以降の政治的期待はないだう。公約はほとんど実現していないし、目立ったのは政治的見得を切ることばかりである。宇都宮氏もブームを起こすタイプではない。なおかつ野党共闘に勢いがでるかどうか。ブームを起こす可能性を秘めているのは山本氏だけである。

 現時点では得票率は先回並みか、下がるか。選挙戦の展開次第であるが、とりあえず先回前後で、上位3者の得票も先回並みとすればざっと600万票を3者が獲得競争することになる。

 宇都宮氏は2014年の都知事選では98万票獲得した。これは鳥越氏に及ばない。今回、野党が努力して鳥越氏の135万票を凌駕するだろうか。小池氏は、先回の291万票を超えるだろうか。仮に2氏がそうなったとして、残りは174万票になる。小池氏は同じで宇都宮氏が98万票程度であれば、残りは211万票になる。

 今回の都知事選は、与野党対決という構図ではない。知名度・期待度勝負という感じであって、ここに、山本氏が、ブームを起こしにくい宇都宮氏の票を食うのではなく、小池氏の票を食うのだという見方が成り立つ。

 都知事選が、ひょっとして波乱を呼ぶか?