専門家会議の「新しい生活様式」なるものの中味を見て、(もちろん、自粛効果を上げるための意見だということは理解するが)これが新型コロナウイルス対策最前線の専門家のやる仕事であるか、大きな疑問を感じた。
大昔の小学校低学年時代、爪は短く切ったか、ハンカチを持っているかみたいな「衛生的生活様式」が推進されており、「週番」という当番が検査する。わたしは「週番」は大嫌いであったが、幸い級長をやっていたのでやらずに済んだ。ところが、この任務を嬉々としてやる子どもがいたのを思い出す。
一方、大阪府が外出自粛・休業要請の緩和判断基準なるものを打ち出した。作成に携わった阪大の先生自身が「科学的なエビデンスがない」と言うようなもので、まさしく科学的研究とは無縁の内容である。
5月1日に、薬害オンブズパースン会議が、厚労省に対して、「アビガンに関する意見書」を提出した。これの承認について慎重を期せという至極もっともな意見である。
アビガンは、2014年に承認された抗インフルエンザウイルス薬ということになっているが、すでに報道もされているように、有効性と安全性が確認されていない。強い催奇形性(奇形の発生を促す性質)があり、本来承認されない薬であるが、一般に流通させないことを前提として、異例の手続きで承認され、保管されてきた。
最近のニュースを3つ並べてみたが、ポイントははっきりしている。科学的知見としてきっちりした根拠があるか。「ウイルスとの戦い」などと修飾語が躍っているけれども、その核心は着実に科学的知見を求めて歩むことである。
政治家が「責任」を振り回しても、何の役にも立たない。