論 考

在宅勤務は素晴らしい?

 世界中で在宅勤務が増えているが、主婦によるとその最大の難点は夫が1日中在宅していることらしい。その夫はまた、子どもにまとわりつかれて厄介を感じている。不自由な生活において、このような話題が出るのはめげてはいない証明だから、大いに笑っていればよろしい。

 そうではあるが、これが本当に! 本音であれば、ウイルスは「人生とは何だ!」という深刻な問いかけを生み出したことにもなる。

 1985年に「家庭内離婚」、1986年に「亭主元気で留守がいい」、1987年に「5時から男」、1988年に「濡れ落ち葉」、1991年に「過労死」が流行語であった。

 1999年に「育児をしない男を父とは呼ばない」という官製コピーが登場した。最近は子どもを抱いている父親の姿がごく日常的に見られるので、マイホームという言葉に代表される家族意識がすっかり定着したのだと思っていたのであるが——

 家族していられる時間が増えたのは事実だから、大いに楽しんでウイルス的メランコリーをぶっ飛ばしたい。ついでに長時間労働の体質についても、じっくり考えてみたい。案外、きらきらした光景が見えるかもしれない。