論 考

政治家に本気が足りない

 政治家ができることは号令をかけるだけではない。いわば社会生活を円滑におこなうための、広い意味でのコーディネーターである。

 ウイルス感染経路不明が多い事態に疑問をもっていたが、今日の日経新聞に東京都の某保健所管内で、感染者からの聞き取りをしている保健師さんのルポが掲載された。朝8時半に出所して聞き取り調査が終わるのが18時くらいで、それから事務ワークをこなすので、帰宅は23時という事例である。要するに人手不足だ。

 また、医療機関における個人用防護装備の不足が深刻だ。サージカルマスク、N95マスク、防護服、ガウン、フェースシールド、手袋。それに消毒用エタノールも不足。

 たとえが上等ではないが、戦争にたとえれば、医療従事者は最前線で戦闘行動をしているわけで、装備が整わずには戦えない。もっとも、かの大東亜戦争では、食料もままならず、軍服はボロボロ、銃弾薬なく、もちろん戦車、トラックもなく、自分の身体だけになってしまった酷い話があるが、まさか、ただいまの医療従事者に精神力だけで戦えというのではあるまい。

 これはモノ不足だ。

 自民党議員のなかには、これら装備は国が供給すべきだという意見があるらしい。気づかないよりはマシだが、この問題はとっくにわかっていたのであり、いまだ手が打てないのはどういうことなんだろうか。

 人手不足、モノ不足に対して、コーディネーターとしての政治家が走り回らなければならない。政府職員、あるいは自治体職員にお任せでは間に合わなくなっている現状を改善するために、政治家には活動してもらいたい。