論 考

メリハリ

 ある日突然ペースが落ちる。気持ちばかり焦って思うようにものごとが捗らない。ピーンと張った状態が続いていることに気づかなかったものだから、気分転換してゆるむべきところを、反対に気合を入れてしまう。その結果、スランプが長く続いてますます焦ったりする。

 ゆるむことと張ることをメリハリ(滅り張り)という。気分に抑揚のある、強弱が適度に効いた、メリハリのある生活はなかなかできないものだ。

 さて、目下は感染を避けるという緊張状態で、いつもとは異なる生活をしているから、他人の視線ではゆるんでいるみたいであっても、ご本人の精神的緊張は決して軽いものではない。

 昨日、都知事が「ゆるみが感じられる」と語った。この辺りに、他者に対する「統制欲求」の強い小池氏の気性が染み出ている。

 小池さん、「自粛」なんですよ。自粛という号令一下、緊張して! 自粛するべしと、無意識のうちにお考えのようだが、それは間違いです。

 もう1つ言わせてもらえば、自粛の主語は本人だから、本人が自分の確たる意志で自粛するように、もっと、事態を詳細に分析した内容を公表すればよろしい。小池氏も、あまりデモクラシーが理解できていないらしい。わたしは、これが気がかりである。