論 考

イラン核合意を支えるべし

 28日、イランとの核合意をしている英仏独中ロとイランの6か国次官級会議が開催された。アメリカのイラン制裁に対する強い反対で一致した。

 これは意味がある。トランプ氏が一方的に核合意離脱をしなければ、いまのホルムズ海峡での緊張状態は発生していない。

 トランプ氏は、自分が描いたシナリオに向けて、事態をどんどん核合意から離れる方向へ牽引しようとしているから、少なくとも、そのシナリオに賛成しないことを英仏独中ロの5か国が鮮明にしたのは有意義である。

 問題は、英国ジョンソン新首相がEU離脱問題で追い詰められている。ジョンソン氏の選択肢は、① EUとの新合意、② 総選挙、③ 合意なき離脱の3点に絞られる。EUとの新合意の可能性は目下限りなくゼロに近い。合意なき離脱には議会が反対である。とすれば総選挙がもっとも近い。

 総選挙も日程的には早くても10月になる。ここまでの経緯をみても、キャメロン元首相が党利党略でEU離脱の国民投票を持ち出したのであり、ジョンソン氏が、党利党略やポストに連綿としないタイプだとは到底考えられないから、気脈が通じているとされるトランプ氏に同調する可能性がある。

 関係国が、核合意を完全に過去のものとしない努力を積み重ねるべきである。日本政府は、アメリカが主張する有志連合に同調してはならない。ここは踏ん張りどころである。トランプ流は破壊しても建設しない。建設するのは他国との間に壁をつくるのみだ。