論 考

戦争の危機をつくるのは政治家である

 子どもが気に入った玩具をもてば四六時中手放さない。寝床にまで持ち込んでしまう。あどけない子どもの仕業だから、親が本気で叱るわけにもいかない。

 町に出ると、幼児が蹴り足で走る小さな自転車で親の自転車と並んで走り回る。可愛いが、なにしろ狭い道路だからヒヤヒヤさせられる。

 各国が、国防・国民の安全のためにと称して巨額の武器を用意する。音速戦闘機を自由自在に乗りこなすには大変な訓練を要する。飛び道具のことだからどこへでも飛んでいける。

 空は到るところ航空管制がなされているが、意図的か偶然かはともかくも他国の領空を侵犯することも発生する。こうなると国家同士の外交問題になる。

 侵犯された(という)側は抗議する。侵犯した(とされる)側は、当然ながら領空ではないと突き放す。悪うございました、これから気をつけます、と素直に謝罪するなんてことはまずない。

 政府は国内向けに国防環境が悪化したという。巨額の国防費はかかる事態のために必要なのだという口実に使える。侵犯されても実害があるわけではなく、むしろ、ともすれば国内に発生する巨額国防費に対する懐疑の声を抑え込むために有益! である。

 なんで中国・ロシアが竹島上空で挑発行為(したとして)に及んだのかという疑問はあるが、実はこれこそ「阿吽の呼吸」の典型例で、挑発するほうも、されるほうも、お互いの国民の生きた広報活動になる次第だ。

 国内政治が円滑であれば、わざわざ他国との間に不信感を高める必要はない。ここから引き出される教訓は、戦争がなくならない最大の理由は、世界中にまともな政治家が少ないという極めて残念な事実である。