論 考

表現の自由の悪用

 表現の自由は、憲法第21条で、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と書かれている。

 議員が失言・暴言と批判された場合に、しばしば「表現の自由だ」と居直る。

 憲法第19条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」とある。つまり、批判されるのは、思想・表現の自由にふさわしくないからである。

 これは主観的傾向であって、人の心の中の問題だから、極論すれば100人が100の思想・表現をもっていることになる。

 そこで思想・表現が良心に基づくと考えるべきであるが、良心なるものは客観性が確保されないと意味がない。

 もともとデモクラシーにおいての表現の自由は、権力と個人の関係において、権力が好き放題やらないように企図されている。

 もちろん議員であっても個人として表現の自由がある。ただし、議員であろうが個人であろうが、憲法の掟に従わなければならない。

 丸山某の発言は憲法の平和主義を無視したのであるから、憲法が認めている表現の自由を逸脱している。つまり、社会通念としては、これを居直りというのである。

 議員たるものが真っ当に憲法を理解していないのだから、辞職せよという声が出るのはなんら不思議ではない。