筆者 高井潔司(たかい・きよし)
今年は年賀状じまいの年だったという。
日本郵便によると、元旦の配達は前年比34%減の4億9100通だったという。私の手元に届いた年賀状でも「今年限りにします」と書いてあったのが数通あり、来年は一層この傾向が強まるのではと予測する。
私と言えば、もう数年前から年賀状は止めて、「今年の収支報告書」と題して、年末に一年間の活動を総括して、メールで送っている。写真も数枚入れ、定年後趣味にしているランニング大会の成績や家庭菜園の収穫状況、たまに書くエッセーなど紹介、それに家族の近況など結構盛りだくさんの内容になる。A4で3頁くらいの分量だ。
年賀はがきに、定番のイラストと年始のあいさつ、ひと言メッセージより、ずっと情報量が多く、すぐ返信メールを返してくれる人もあり、好評だった。
ただ今年はどうも筆が進まなかった。(パソコンのキーが打てなかった)書くことは沢山ある。長年の宿題だった本の出版にこぎつけた、11月の大阪淀川市民マラソンでは豪雨翌日のぬかるみの中ハーフを完走できた、12月には35歳になる二女が、仕事の傍ら日本の大学も出ていないのに米ジョージア州立大学を6年かけて卒業し、その卒業式に出席した——などなど。
「今年もメールにて一年のご報告を」と書き始めたのだが、どうも気乗りがしない。というもの、ウクライナの戦火は止まず、イスラエルのガザ侵攻はレバノンへの攻撃へと拡大する。日本国内と言えば、震災、豪雨からの能登の復興は進まず、物価高は深刻さをましている。こんな状況に、無邪気に自慢げに一年の活動報告などしている場合かと、沈みこんでしまった。
と言って、届く年賀状に返事を書かねばならないし、例年メールを出してご挨拶している方々にも何か送らないわけにもいかない。というわけで、今年の年頭のメッセージはこんな言い訳で終わりました。
「例年、新年には、年賀状代わりに長文の活動報告を書いて来ました。今年も出版やランニングレースなど書くことは沢山あるんですが、戦争や震災、洪水に物価高など多くの人が苦しむ中、どうも筆が進みません。とりあえず新年おめでとう御座いますということで」
かく反省はしているものの、三が日酒を飲み、駅伝のテレビ中継をだらだらと見て過ごすだけの日々でした。本当にめでたくもなしでしたね。