論 考

不自由のフラストレーション

 人口問題研究所が2070年の人口を8,700万人と試算した。うち1割が外国人とする。

 経済財政諮問会議は、育児手当や住宅支援などで5兆円投入すれば、合計特殊出生率が0.05から0.1%上昇すると弾く。

 先進国では、女性の経済的・社会的自由が拡大すると、結婚・出産が女性自身の生きたい生き方に対して負担になるので、おおむね少子化になる。

 ところで日本では、女性は自由ではないのに少子化が進んだ。自由ではない理由の大きなものは、男女差別・役割分業である。

 カルフォルニア大のフリューシトゥック教授は、日本の女性は、不自由のフラストレーションが積み重なって少子化になっていると指摘する。

 そうであれば、産めよ増やせと鐘太鼓は叩かないものの(実際はそうなっている)、産めば支援しますというご都合主義思想が、またぞろフラストレーションに輪をかける。 

 少子化対策のための予算投入は、各国ともだいたい成功していない。

 出産をサポートするのは、国のためではない。1人ひとりの人生の充実のためである。

 相変わらずピントがずれた対策で騒動している。少子化を前提とした対策のほうが大事だ。こちらはまったく研究されていない。

 外国人1割説も、入管法や技能実習制度に示される差別を見ていると、そんなに増えるだろうか。

 戦前からの日本人的ご都合主義体質がまるで変っていないみたいである。