論 考

重厚な論議ができる政党を

 時代の転換点だから、勇気をもって行動する、その覚悟がある自民党をよろしくというのが岸田氏のセールスポイントだった。

 なるほど、覚悟の演出が巧妙な維新に株を奪われた。自民と維新はアクセルの吹かし方の違いだから、派手なほうが目立つ。

 統一地方選の結果は、衆参5補選も含めて、事前の予想通りである。

 政府・自民党は、国政の整合性を無視して、あたかも変化を先取りするかのようなポーズを取る。これは場当たり主義である。国政の課題は、国の針路を根本から考えて討議しなければならない。

 これは、選挙戦のように上滑りの言葉の派手な投げ合いではない。じっくり、腰を落として考え、討論せねばならない。

 野党に期待するべきは、そのような重厚な考え方ができる主体であって、いわば政局騒動ではなく、本当に政治をやるという一言に尽きる。

 維新が伸びても、いわば自民党の派閥の外部化にすぎない。

 本当に自民党に対するアンチテーゼを構築した野党がほしい。これは、なんでも反対論ではない。自民党の考え方は、1つの考え方であって、正解とはまったく異なる。考え方の矛盾を浮き上がらせる討論が必要だ。

 野党は、議論する面白さを開拓する気風がほしい。「考える」政党の登場なくして、民主主義は育てられない。