論 考

みなさん、本当に戦争する気なんですか

 代表質問に対する質疑について、本日の読売社説は、「反対ばかりでは議論が深まらぬ」として、野党は現実的な政策を基に政策論争を挑めと主張した。

 なにをもって現実的というか。なかなか難しい。なにしろ敵基地攻撃能力を確保すれば安全だという見識自体が、とても現実的には思えない。

 敵基地攻撃能力というのは、反撃能力であって、反撃されるから相手が攻撃してこないという理屈は、こちらの超観念的物語にすぎず、論理的にも、ましてや実践的に証明される代物でもない。

 読売の反対ばかりでなくというのは認めるとして、さて、そこで、まず必要なことは、岸田氏が言うところの、「戦後もっとも厳しく複雑な安全保障環境」なるものが、いったいどういう中身なのか。危険の本質はなになのか。それを排除するために、いかなる努力をおこなっているのか。

 せめて、その程度の前提条件の議論を深めるのが順序である。はじめから、増税反対論に入れば、従来にはなかった敵基地攻撃能力を持つことが、本当に妥当なのかどうかの基本的議論がお留守になる。

 立憲のみなさんにお願いする。「戦後もっとも厳しく複雑な安全保障環境」なるものを、もっとていねい、精緻に議論してもらいたい。

 なんとなれば、政府案は国民に対して「戦争する決意」を求めているのと同じである。自衛隊の諸君たけが――競技的に――戦争するのではない。

 つまり、立憲は、国民諸兄に対しても、「本当にそれでよろしいのか」考えてもらう必要がある。増税するなら解散せよという以前に、これがもっとも大事なことなのだ。