論 考

カエルの面に水か

 岸田氏は、かなり単純思考の人に見える。聞く耳作戦の効能がなくなると、次は決断する政治家のポーズである。

 支持率が低迷するから焦る気持ちはわからなくはないが、支持率低迷を別の言葉で表現すれば、人気下降、すなわち信頼度低下なのである。

 ところが、やけに決断を振り回すものだから、ますます国民感覚とのすれ違いが際立つ。経済政策に期待できないという声が70%を超えている(朝日新聞)というのは、自民党がもっとも得意とする面で信頼されていない。つまり、かなり危ない。

 加えて岸田氏はピントが狂っているのではないか。異次元の少子化対策という言葉など、全面的に空疎である。黒田日銀が異次元を振り回して、挙句は大失敗、スカタン政策だったことが露呈している。

 性懲りもなく、はったりに異次元を使うなど、使い古しでしかも不評の言葉を使うわけだから、わざわざ自分で誇大宣伝でございますとぶちまけているようなものだ。

 決断をさかんに言うが、岸田氏か決断したって、それがありがたいわけでもなんでもない。そんなことより、通常国会で、逃げない・率直な答弁をぜひとも確実にやっていただきたい。