論 考

失敗の様相

 幼稚園児の送迎バス車内死亡は、いわば不注意ミスの集合で、1つひとつのミスはどこでもありそうなものである。大事が発生して大騒動になるが取り返しがつかない。

 勤め人生活のころ、工場に火気当番という仕組みがあった。職場の電気をすべて消すとか、お茶くみ場のガス栓を閉めるとか、その程度の簡単な作業である。ところが、なぜか、月1回くらいは当番がミスを冒す。

 守衛所に呼ばれて、原因を問われるのだが、なにしろ不注意ミスだから、原因が思い当たらず、もたついて、守衛さんがとんでもなく意地悪に思えた。不注意をやらないというのは、本当に難しい。

 送迎バス事故は、みんなが降車した後、誰かが車内点検すれば発生しなかった。園児を受け入れた保育士が点呼をきちっとおこなえば、気づいて無事にすんだのだが、やらなかった。ちゃらんぽらんな性質は理屈では絶対に直らない。

 小学校低学年の教師の体験だが、生徒が30人ほどで、1人イレギュラーな発言・行動をする子供がいれば、もう、とても授業が進められないと悩んでいた。集中力を失うわけだ。

 日々の自分の生活でも、小さな異変があると、ペースが狂う。小さな異変がいろいろ重なって続くと、かなり疲れる。安心・安全という言葉が好きな日本人ということになっているが、それは他人任せでは絶対に得られない。

 なにしろ日常生活は危険がいっぱいである。本当に!