みんなのコラム

私はレンブラントになれるだろうか?

POOH

 先週に引き続き、武蔵美通信・夏期スクーリングを楽しんでいる。

 今週は絵画研究の「古典技法」である。ルネサンス以降の油彩画の技法に少しでも近づこうという授業だ。実際に「古典技法」をアレンジして写実画を描いている現代作家もいる。実はよく考えると、このような授業が受けられるのは「大学」だからなのである。そもそも大学とは研究機関なのだ。

 先日、相模原にある女子美術大学のアートミュージアムで開催中の「中西夏之展」に足を運んだ。中西夏之は戦後日本の前衛芸術を牽引した作家である。その作家は作品の制作方法を記した「指示書」を遺した。これに従って忠実に再現した「砂絵」などが制作過程の動画とともに展示されていた。これも大学ならではの研究活動として大変興味深かった。研究とは思考と実験の繰り返しである。

 この時期の大学構内は蝉の大合唱である。一日の授業を終えて玉川上水の遊歩道を鷹の台駅に向かって歩いてゆくと、蜩が啼いていた。果たして日曜までに、私はレンブラントになれるだろうか?