論 考

投票率伸びず

 「1強」政治批判をしてきたので、自民党の15議席減は不満である。市民・野党共闘が伸びなかったのは残念だ。維新の3倍増は意外だった。

 定員が決まっているから、結果からみれば、自民と市民・野党共闘は維新に食われた。これ、選挙結果についての解釈である。

 市民と野党の共闘は、形ができたが、実力が伴わなかった。つまり、全国の人々へのメッセージが届かなかった。

 維新の躍進は、人々が現状政治に飽き足らないことを示唆している。コックが、料理Aより、料理Bをお勧めしたが、料理Aの味付けを変えればよいと言われたようなものか。

 政権党たること自体が、日本的政治の慣性を構築している。運動の法則からすれば、市民・野党共闘は、それを変えるだけのインパクトを提供できなかった。

 日本政治のテーゼというのが、実のところ、わかったようでわからない。これ、明治以来の奇妙な伝統である。テーゼが明確でないから、アンチテーゼが明確に立てられない。

 テーゼ「~のようなもの」に対して、アンチテーゼ「~のようなものでないもの」という次第だから、ドラマチックな展開がない。

 もちろん、個別には論争点が浮き彫りされた選挙区があった。東京8区の立民新人が石原氏、神奈川13区で甘利氏を落選(比例復活)させたのは、共闘の成果である。

 野党は、なかなかいいことを主張するのだが、なぜか、人気が高まらない。外電でも、自民党は歴代平凡な人物が党を率いていたと報じた。つまりは、党を大きくしようということに関して、平凡な人物が非凡な結果を生んでいる。

 野党は、重箱の隅をつつくがごとき、個性主張にばかり熱を上げるのではなく、大きく集まるという心がけで、奮闘してもらいたい。

 投票率があまり伸びなかった。前回より2%強で、60%にも至らない。野党には、投票率を伸ばすだけの影響力が発揮できなかった。党が大きくならないのと同根である。