論 考

ブースターの前に低所得国へ回せ

 目下、コロナ感染が減少して、一安心である。ブースター接種も検討中らしい。コロナで菅氏が辞任せざるを得なかったのだから、さらにもう一押しという理屈はわかる。しかし——

 ユニセフ調査では、世界低所得国のワクチン接種は100人当り9.3回分でしかない。高所得国は同155回分だ。

 WHOは、COVAXによって低所得国向けのワクチンを確保する予定であったが、活動の成果は思わしくない。

 たとえば、目下、アフリカ諸国に対しては、年内に4.7億回分が確保できたようだが、人口13億人だから、まったく不足している。

 各国が、ブースターに乗り出したものだから、なおさらCOVAXに回らない。COVAX活動を通して、コロナ禍を世界連帯の機会にしようと意気込んだものの、現実は相変わらず、カネと力が幅を利かせている。

 非常に不愉快だ。G7やG20で、国際政治している「フリ」に熱を上げるのではなく、対コロナで結束してみせたらどうだ。

 この程度の提案すらできないのでは、大物政治家どころか、ゴクツブシと呼ぶしかない。