論 考

口利き政治家

 2020年7月の東芝総会議決に不公正があったのではないかを調査した外部委員会(弁護士)の報告で、車谷社長当時、東芝が、株主に対する改正外為法による規制・牽制を期待して、経産省に支援を要請していたという。経産省の水野弘道参与が、大株主のハーバード大学基金に働きかけた。

 ここへ、またぞろ菅氏が登場する。官房長官時代の昨年5月11日に車谷社長との朝食会、7月27日には他の重役と面談しており、直後の7月31日に水野氏がハーバード大学基金に対して、議決権不行使を働きかけたという流れだ。

 記事を見ただけでは、動かぬ証拠を押さえたというところまでは到達していないようだ。車谷社長が東芝身売りで騒動し、結局辞任して収めた件の真実もいまだ藪の中で、どうもすっきりしない。

 野党が国会の3か月延長を要求している。政府与党は延長したくないらしい。政府与党が議会を開催することに熱心でないのは、産業界の口利きに熱が入り過ぎているのではないと言いたくなる。

 口利きが流行るのは、政治家が利権に巻き込まれるのであり、自ら政治家の地位を貶めるのである。口利き政治は、政治のアウトロー化である。前内閣時代から、この手の話が後を絶たない。遺憾千万である。