論 考

玉が小さすぎる

 組織委員会の感染症対策は、選手や五輪関係者に限定したもので、周辺とは別である。完全な隔離ができるわけもないから、組織委員会の対策を含めた感染症対策のリスク評価が必要である。

 感染症対策分科会の専門家がリスク評価を発表する段階に近づいたが、厚労相が、「リスクに対する専門家の考え方の発表は、自主的研究の成果の発表」と受け止めるという。

 理由を聞くまでもなく、なにがなんでも五輪を開催したいから、リスク評価によって反対世論が増すのが嫌だというのであるが、「安全・安心」で開催すると繰り返しているのだから、リスク評価が出されれば、きちんと受け止めて対策を講ずるのが当然である。

 日本学術会議の会員一部任命拒否問題では、自由な研究を妨害する姿勢が露見したが、今度は、政府が頼まないことは研究するなということに等しい。もちろん、こんな態度は民主主義を理解していない連中だからである。

 厚労相はボスに忠誠を尽くして悪役を買って出たつもりか、そのように楽屋で指示されたのかは知らぬが、こんなことでは、ボスの度量の小ささを天下にさらすだけである。1トントラックに3トンの荷物は積めないものだ。